私が勤めている会社の入社年次の若い人たちが軒並み新築ワンルームマンション投資の餌食になっています。そして、全員に共通している特徴が、
損していることに気づいていない
です。なぜみんな自分がしていることの危険性に気づかないのか、私なりに話を聞く中で、共通点がわかってきたので今回はこれを記事にしてみます。
不動産業者からの説明を信じ切っているのですが、その説明文句をまとめてみました。
- 「月々の赤字は確定申告すれば還付されるので大丈夫。」
- 「長期譲渡所得税率で売却したほうが税率的に有利なので6年は保有しましょう。」
こんなところが代表的です。ひとつずつ説明します。
月々の赤字は確定申告すれば還付される?
このセリフには、大きく分けて二つの嘘が含まれています。
- 月々出た赤字がまるっと、所得税還付で返ってくる人は所得税率100%の人だけ。
日本の最高所得税率は45%なので、この説明はもはや嘘です。不動産所得で出た赤字と給与所得をぶつけて減らすことができるのは、「課税所得」であって「税金」ではありません。
うちの社員に聞いていて、ほぼ全員が「税金」を赤字分減らすことができると勘違いしていました。そのように説明する業者も悪いですが、調べないうちの社員もよくないことは確かです。
- そもそも月々の収支が会計上赤字になっているのか?
二つ目の嘘はこれです。不動産所得を計算するにあたって経費となる主な項目は、金利、管理費、修繕積立金、税金です。大切なものが含まれていないことがわかりますか?
それは、返済元本です。
10万円の家賃に対し、8万円の返済(元本+金利)、その他費用+税金(月割り)で月3万円かかるとして、月1万円の赤字が出たとします。実際に1万円手出ししているので、本人的には赤字という感覚になっているでしょう。
しかし、8万円の返済の内半分の4万円が返済元本だった場合、会計上、10-4-3で3万円の黒字となってしまいます。これでは不動産所得が赤字にもなりません。実際減価償却などが入って会計上、赤字になることがいいと思いますが、不動産業者が赤字を計算するときに「元本」も含まれているとそれは嘘の説明になりますので要注意です。
長期譲渡所得税率のほうがお得だから6年は保有すべし??
これはある意味、嘘ではありません。
短期譲渡所得税率は40%ですが、6回正月を迎えることで長期譲渡所得税率が適用になり20%になります。そして売却によって出た利益に課税されることになります。よって長期所得税率のほうがお得だ、というのは間違えていません。
ただし、利益が出る場合のみ、です。
大体の物件は販売業者(および工務店)の利益がたっぷりと乗った価格故、買った直後に価格を調べれば、評価が全然でないことに気づくでしょう。
そのことに6年間気づかせないためなのか真意はわかりませんが、長期譲渡所得税のことを不動産販売業者は強調して説明しているようです。
まとめ
もちろんワンルームマンション投資には、節税と売却益が見込める素晴らしい案件があることもわかります。ただ、そんな案件は1000万円や2000万円ほどの年収の人に降ってくる話ではありません。
儲け話は営業しなくても売れるので、わざわざ営業の電話をかける必要はありません。
儲け話が来たときは「まず疑う」くらいの姿勢でちょうどいいと思います。不動産の失敗は資産形成上かなりダメージがあるので本当に気をつけましょう。
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